Oh, My Nola / Harry Connick, Jr. (Columbia)2007/02/12

Oh, My Nola / Harry Connick, Jr. (Columbia)

ハリー・コニック・ジュニアの新作です。けっこうアメリカでは売れているみたい。

この人、デビュー直後からノージが大注目していて。のべつ家で聞いていたもんで、ぼくもその音のおこぼれをちょうだいしながら楽しんできたのだけれど。ビッグ・バンドを率いてフランク・シナトラ~ボビー・ダーリンの線を現代に甦らせようとしていた時期を経て、ファンク~フュージョンの色合いを強めた時期があって、俳優としてかなりやばい役にまで挑戦していた時期があって、またスタンダード曲方面にシフトチェンジした時期があって…。それなりの曲折はあるものの、独特のクールなたたずまいと、幼いころから身体にしたためたジャジーな音楽性は一貫していて。新作を出すたび、気になり続けている存在ではあります。

ハリケーン・カトリーナに襲われた自らの故郷ニューオリンズに対して、真っ先に救いの手を差し伸べたひとりとしてもおなじみだと思うけれど。そんな流れを受けてか、この新作、全編ニューオリンズの香りがあふれる実にいい仕上がりだ。N.ew.O.r.L.e.A.ns で、NOLA=ノラ。(すいません。間違いでした。次の項でも触れましたが、本当は、New Orleans, Louisiana のこと。ルイジアナの略称は "LA" なので、New Orleans, LA で、NOLA。これが正解です)

といってもニューオリンズの惨状を嘆く内容ではなく、ニューオリンズという全米屈指のミュージック・シティに渦巻く――とともに、ニューオリンズで育ったハリーの身体の中にしっかりと渦巻く――多彩な音楽的躍動を、伝統に対する敬愛たっぷりのオレ流で一気に集大成してみせる。

リー・ドーシー、アラン・トゥーサン、クリス・ケナー、アルヴィン・ロビンソン、デイヴ・バーソロミュー、ルイ・アームストロング、シドニー・ベシェ、ドクター・ジョン、W.C.ハンディ、マヘリア・ジャクソンなどなど、ニューオリンズが輩出したジャズやR&Bの偉大な先達ゆかりの曲を中心に、ちょっとだけオリジナル曲を交えての1枚。ごきげんなピアノ・プレイもそこそこフィーチャーして。のびのび聞かせる。

サッチモやマヘリアの思い出が、ぼくの中で今も安全に生き続けていることを誇りに思う。オー、マイ・ノラ。高いマグノリアの木のように、古くて、正しくて、強い。その木陰に身を置こう。ここがぼくのいるべき場所。オー、マイ・ニューオリンズ。ぼくを待っていてくれ…という(ふうにぼくの耳には聞こえた)自作タイトル曲の歌詞がぐっと来ました。

I'm A Bear In A Lady's Boudoir / Ukulele Ike aka Cliff Edwards (Air Mail Recordings)2007/02/28

I'm A Bear In A Lady's Boudoir / Ukulele Ike

前回更新した直後、ニューオリンズ在住、英ペならぬ日ペのテッドさんという方からソッコーでメールが来て、笑われました(笑)。つい先日も茨城県の宮下さんからもご指摘いただきました。ハリー・コニック・ジュニアを紹介した前回の文章の中で、ニューオリンズをNOLAと呼ぶ理由についてテキトーなことを書いちゃいました。すみません。

本当は、New Orleans, Louisiana のことで。ルイジアナの略称は "LA" だから。New Orleans, LA で、NOLA と。そういうわけです。これが正解です。ぼくは勝手に前回書いたみたいに思い込んでました。いやー、お恥ずかしい。こういう、確かめもせずに自分で正解だと思い込んでいることって、少なくともぼくの場合はけっこう多いみたいで。反省、反省。これからも日々精進します。他にも間違い、お気づきになったらぜひご指摘ください。みなさまに支えられながら生きてます。よろしくお願いします。

実はもうちょい早めに更新/訂正するつもりだったのに、愛用しているノートパソコンに野菜ジュースこぼしちまってよー(涙)。あわてて周辺機器を取り外したり、データをバックアップしたりしたものの、キーボードがぺたぺたになって。あちこちのキーが押されっぱなしになってるみたいで。ついでにマウスポインタも挙動がおかしくなって。でも、仕事はしなくちゃならないから、オールド・マシンの復旧はあきらめてニュー・マシンを買いに行ったら。もう世の中にはVista導入済みのものしかなくて。Vistaのインターフェイスというか、クセというか、そういうのをつかむまでに時間がかかっちゃって。しかもドライバがまだ充実していないせいで、これまで使っていた周辺機器やソフトやプラグインをだましだまし動かせるようにするまでに時間がかかっちゃって。散々っすよ。

先日のCRT“ジェームス・テイラー・ナイト”直前の惨劇。音源をたっぷり詰め込んだ800Gの外付けハードディスクドライブを最初Vistaが認識してくれず、焦りましたよ。あのハードディスクがなかったら、ケンタの戦力90パーセント・ダウン。なんとかCRTには間に合って、たくさん来てくださったお客さんとともにジェームス・テイラーの魅力をとっぷり分かち合えましたが。いやー、ぎりぎりだったなぁ。当たり前のことですが、パソコンの近くでは水分・糖分に十分気をつけましょう。

で、今回のピック・アルバムですが。ちょっと前にエアー・メイル・レコードから出たウクレレ・アイクことクリフ・エドワーズの紙ジャケ再発。今さらのタイミングですが。やっぱり個人的に思い入れの強い盤なので、紹介しておきましょう。1975年にヤズー・レコードからリリースされた復刻LPの紙ジャケCD化。ディズニーの名作『ピノキオ』で「星に願いを」を歌ったクリフ・エドワーズの20~30年代音源集だ。ウクレレを奏でながらほのぼのノスタルジックなメロディを歌い綴る名演ばかり。

大学生だった、確か77年ごろ、内容はよくわからなかったものの、ロバート・クラムが描くジャケットに惹かれて買ってみて。思い切りハマったものだ。実際はロバート・クラムが自らミュージシャンとして率いていた趣味趣味楽団、チープ・スーツ・セレネイダーズのセカンド・アルバムを先に買って。それにハマって。その流れで、同系統のレコード会社から出ていたこの盤にも手を出してみた、と。そういう感じ。クラムのジャケットなんだから、絶対にいいはずだと決め込んで買った。

タイニー・ティムやイアン・ホイットカムのようなウクレレ使いとしての後輩はもちろん、ハリー・ニルソンやジム・クウェスキンやジェフ&マリアあたりもきっとこのクリフ・エドワーズの楽曲に胸をときめかせていたんだろうなぁ…などと夢想しつつ、SP盤から起こされた、音質はひどいけれど、なんとも言えない温かみのある音像に酔いしれた。A面トップの表題曲をはじめ、「アイル・シー・ユー・イン・マイ・ドリームズ」「イット・ハッド・トゥ・ビー・ユー」「カリフォルニア・ヒア・アイ・カム」「スタック・オ・リー」、そしてB面ラストを飾る「アイム・ゴーイング・トゥ・ギヴ・イット・トゥ・メアリー・ウィズ・ラヴ」など、どんどん好きな曲が増えていった。その後、他社からリリースされているアンソロジーをあれこれ入手してみると、本盤に収められている楽曲群がけっしてクリフ・エドワーズの代表曲ばかりってわけではないことがわかってきたのだけれど。

でも、長年聞き込んできた盤なもんで。ぼくは今でもこの盤にいちばんの愛着を抱いている。絶品ジャケットを眺めながら聞くと、さらにメートルも上がります。

ちなみに今回の再発、“ロバート・クラム・アートワーク・コレクション”と題されたシリーズの一環だ。ヤズー・レコードがLP時代に復刻した盤の中から、クラムがジャケットを書いたものを全部で8枚、紙ジャケCD化。そのうちの1枚です。他に出たのは、陽気で猥雑なホウカム・ブルースの名演を集めたコンピ『プリーズ・ウォーム・マイ・ウェイナー』、ギターを膝の上に寝かせてポップなスライド・ギターを聞かせるケイシー・ビル・ウェルドンと、同じく膝にギターを寝かせ豪快なスライドをかますココモ・アーノルドの名演を、LP時代はそれぞれA面、B面に振り分けていた『ボトルネック・ギター・トレンドセッターズ・オブ・ザ・30's』、ジョージア・トムとタンパ・レッドが組んだホウカム・ボーイズの名演集『ユー・キャント・ゲット・イナフ・オブ・ザット・スタッフ』、ブルース・ハープをフィーチャーした名演を有名無名問わず集めた『ハーモニカ・ブルース』、ミシシッピ・シークスのメンバーとしても知られるボー・カーターの弾き語り音源を中心に編まれた、ちょっぴりエッチな『バナナ・イン・ユア・フルーツ・バスケット』、3大ジャグ・バンドのひとつ、メンフィス・ジャグ・バンドの隠れ名曲でマニアックに構成された2枚組『メンフィス・ジャグ・バンド』、ジェームス・P・ジョンソン、アール・ハインズ、キング・オリヴァー、コールマン・ホーキンス、ビックス・バイダーベック、ジェリー・ロール・モートン、デューク・エリントン、ファッツ・ウォラーらの戦前ジャズ・コンピ『ヤズー・ヒストリー・オブ・ジャズ』。

すべて思い出深いヤズー盤ばかり。ジャケットで選ぶとなると、やはり名作の誉れ高き『ハーモニカ・ブルース』かな。