Gossip in the Grain / Ray LaMontagne (RCA)2008/10/29

Gossip in the Grain / Ray LaMontagne (RCA)

先日、「ホームページ、せっかくブログにしたんだから、もっと頻繁にすればいいのに」と、とある方に言われて。「やー、なかなか書くこともなくて」とかテキトーに答えてたら。「だって健太さんって平均すれば毎日最低1枚は新譜買ってるんでしょ?」と突っ込まれて。「確かに、1枚どころじゃなく買ってますね」と言ったら。「それ、1枚ずつ紹介してくれればいいんだからぜひやってよ、別に長い評論とかじゃなくても楽しいから」と。

なんとなく納得したもんで。ブログっぽく、しばらくやってみます。毎日って感じにはならないかもしれないけど。軽く(笑)。

というわけで、まず今日はレイ・ラモンターニュの3作目。今月のアタマくらいに買ったものです。前よりずいぶんと外向きに、明るくなった印象。プロデュースは変わらずイーサン・ジョンズ。スタックス・ソウルっぽい瞬間あり、ヴァン・モリソンっぽい瞬間あり、マーティ・ロビンスっぽい瞬間あり、ジミー・ウェッブっぽい瞬間あり、フィル・オクスっぽい瞬間あり、モリコーネっぽい瞬間あり、ピンク・フロイドっぽい瞬間あり…。ラモンターニュ流のブルー・アイド・ソウル感覚が様々な形で充満。ティム・バックリーをさらにハスキーに、痛く、切なくしたような歌声は、相変わらず奇妙な吸引力を放ってます。

Johnny Cash At Folsom Prison (Legacy Edition) / Johnny Cash (Columbia/Legacy)2008/10/30

Johnny Cash At Folsom Prison (Legacy Edition)

サン・クエンティン刑務所でのライヴ完全版に続いて、必殺のフォルサム刑務所でのライヴ完全版も登場。2CD+DVDのロングボックス仕様。68年1月13日、当刑務所の囚人を前に行われた昼・夜2回のパフォーマンスを完全収録している。当然、未発表音源だらけ。サン・クエンティンの完全版同様、ツアー・メンバーとして同行していたカール・パーキンスやスタットラー・ブラザーズの未発表パフォーマンスもたっぷり聞くことができる。

そうそう。CRTのジョニー・キャッシュ・ナイトのときに取材記者によるプライベート音源を使って検証した、ジョニー・キャッシュ登場前の“前説”も、ついにいい音でオフィシャル・リリースされました(笑)。オリジナル盤で聞かれる、“ハロー・アイム・ジョニー・キャッシュ”という冒頭のMCの不敵さや、それに応じる囚人たちの“うぎゃ~っ!”という歓声が、この前説を受けてのヤラセだったということを知ったときは、あ、まあ、考えてみりゃそうだよな…と思ったものの、複雑な気分を抱いたのは事実。それがオフィシャルな形で世に出てしまったわけで。伝説の崩壊ではありますが。コンサートの全貌がとうとう明らかになったという、この快挙と引き替えだから。OKです。

いずれにせよ、カントリー畑の大御所ながら、やばさにかけてはどんなロッカーもラッパーもかなわないジョニー・キャッシュの凄味は今回のボックスからも存分に伝わってくる。“俺は男を撃った。そいつが死ぬところを見るために”という自作曲「フォルサム・プリズン・ブルース」を当のフォルサム刑務所で不敵に歌い、観客である囚人たちが大歓声をあげる。と思えば、そうした犯罪者の曲と分け隔てなく、神への深い思いを淡々と歌い綴る敬虔なゴスペルが披露される。アメリカの深さを思い知る歴史的瞬間の記録だ。

DVDには90分もののドキュメンタリーを収録。時間がなくてまだ見てません。これも楽しみ。いつ見られるかなぁ…。

Live / Phoebe Snow (Verve Forecast)2008/10/31

Live / Phoebe Snow

今年の7月、ウッドストックのベアズヴィル・シアターで行われたフィービ・スノウのパフォーマンスを記録した新作。ヴァーヴ・フォアキャストからのリリースで。メジャー・レーベルからの彼女の新作としては、89年にエレクトラから出た『サムシング・リアル』以来ほぼ20年ぶりのことになる。この20年の間、カヴァー・アルバムが1枚、オリジナル中心のアルバムが1枚。どっちも素晴らしい内容だったけれど。マイナー・レーベルから出たその両盤の収録曲も交えたセット・リストで、フィービは長いブランクを一気に埋めつつ躍動してみせる。

デビュー直後、31年前に産んだ娘さんの脳に障害があって。以来、フィービは長い試練の日々を過ごしてきた。その娘さんが今年の3月に他界。想像を絶する苦しみと悲しみを乗り越えての復活パフォーマンスだったわけだ。でも、まったく衰えはない。錆び付いていない。74年のデビュー盤を聞いたときに感じた、クールで、同時にホットで、ファンキーで、内省的で、ダイナミックで、深くて…そんな彼女の魅力はそのまま。名うてが勢揃いしたバンドの演奏も含め、最上級の歌心を堪能できる。おなじみの「ポエトリー・マン」「シェイキー・グラウンド」、前述したカヴァー盤にも入っていた「ロッキン・ニューモニア…」とか「ピース・オヴ・マイ・ハート」、それから今回がたぶん初カヴァーになる「イッツ・オール・イン・ザ・ゲーム」とか「ウィズ・ア・ソング・イン・マイ・ハート」とか、選曲も仕上がりもごきげんだ。新曲もあります。

フォーク、ジャズ、ブルース、ソウルなどが魅惑的に溶け合うフィービ・スノウの世界が、また多くの音楽ファンのもとに帰ってきた。うれしいっすね。なんか、ジャケが泣けますね。