Do-Wah-Diddy: Words and Music by Ellie Greenwich and Jeff Barry / Various Artists (Ace)2008/11/01

Greenwich & Barry

英Aceが続けているブリル・ビルディング系のソングライター/プロデューサー・シリーズ。ジェリー・リーバー&マイク・ストーラー、ドク・ポウマス&モート・シューマン、ジェリー・ゴフィン&キャロル・キング、バート・バカラック、バート・バーンズなどに続いて、いよいよエリー・グリニッチ&ジェフ・バリーの作品集が出た。

この夫婦(当時)ソングライター・チームの代表曲というとロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」をはじめとするフィレス・レコードに提供した一連のヒット群ということになるのだけれど、フィレス音源は契約上使えないそうで。一切含まれていない。とはいえ、ビーチ・ボーイズによる「アイ・キャン・ヒア・ミュージック」とか、ハリー・ニルソンによる「リヴァー・ディープ・マウンテン・ハイ」とか、カレン・ヴェロスによる「リトル・ボーイ」とか、傑作/珍品カヴァー・ヴァージョンでそのあたりを見事に乗り切っている。Ace、考えました。

「ハンキー・パンキー」の正真正銘、初出盤であるサミッツのヴァージョンを筆頭に、初CD化音源も数曲。もちろんシャングリ・ラス、ディクシー・カップス、ジェリー・ビーンズといったレッド・バード・レコード音源もふんだん。エリー・グリニッチ自身によるライナーも興味深い。このシリーズ、間もなくジャッキー・デシャノン作品集も出ます。つーか、イギリスではもう出て、もう入手しました。近々ご紹介しましょう。バリー・マン&シンシア・ワイル作品集も予定されているらしい。今後も楽しみ。

The Ry Cooder Anthology: The UFO Has Landed / Ry Cooder (Rhino)2008/11/02

The Ry Cooder Anthology: The UFO Has Landed

日本シリーズ、なんか両チームともまだ本領が発揮できないみたいで。見ていておなか痛くなります。でも、今季も間もなく終了。淋しいから、できるだけ長く、7戦いっぱいいっぱいまでもつれてもらいたいものです。

で、本日はライ・クーダーの2枚組ベスト。

すでに様々なベスト盤が出ているライ・クーダーながら、オリジナル・アルバムの収録曲とサウンドトラック音源がレーベルを超えて入り乱れるアンソロジーとなるとこれが初かも。選曲/監修はライ・クーダーの息子であり、近年の重要なバンドメイトでもあるヨアヒム・クーダー。さすが、なかなかに鋭い選曲がなされている。年代順にこだわらない構成も、“時代”という実に曖昧な、実体があるのかないのかよくわからない価値観に縛られることなく着実な活動を続けるライ・クーダーの個性をうまくすくい上げていて。悪くない。

時期によって異なるテーマを掲げながら、様々なルーツ音楽めがけて斬新なアプローチを仕掛け続けてきたようにも思えるライ・クーダーだけれど。70年のファースト・ソロから今年出た『アイ、フラットヘッド』まで、膨大なアルバム群からのピックアップ曲が年代ばらばらに並べられた今回のアンソロジーを聞いて思い知った。この40年ほどのキャリアを通じて、この人、ほぼ揺るぎがない。音楽的な足腰がそうとうしっかりしてるんだろうなぁ。その底力に改めて驚かされる。

未発表音源も1曲。バックウィート・ザディコを迎えて、ごきげんなライ・クーダー・グルーヴのもと、ウィルバート・ハリソンの「レッツ・ワーク・トゥゲザー」やってます。ロック・ファンにはキャンド・ヒートでおなじみのあの曲です。

Heroes: Giants Of Early Guitar Rock / Dion (Saguaro Road)2008/11/03

Heroes / Dion

今日はがっかり盤(笑)。

ていうか。ファンにとっては新作が出るだけでうれしいわけで。ぼくはうれしいんですよ。最新の歌声を聞けるのは。心から。だから、けっこうよく聞いているんだけど。でも、ディオンのことをあんまり知らないって人には絶対すすめない1枚。

ブロンクス出身のキング・オヴ・ザ・ストリート、現在68歳になったディオンの新作。エディ・コクランとかリッチー・ヴァレンスとかバディ・ホリーとかリッキー・ネルソンとかエヴァリー・ブラザーズとかジーン・ヴィンセントとかデル・シャノンとかエルヴィス・プレスリーとかジョニー・キャッシュとかカール・パーキンスとかボ・ディドリーとかチャック・ベリーとかロイ・オービソンとかビル・ヘイリーとか…要するにディオンと同じロックンロールの偉大なオリジネイターたちの代表曲を、ギター・サウンドに着目する形でカヴァーしまくった1枚で。確かに、こうやって書き連ねてみると、けっこう故人も多いし。そういう人たちのロックンロール魂を今なお現役として受け継いでいるのは俺なんだ、と。そういう気概を表明するって意味ではそれなりの企画盤なのかもしれないけれど。

なんか、すごくフツーにやってるんだよなぁ。想像の範囲内のカヴァーというか。ここ数作、自らのルーツを再検証するような好盤が続いていただけに、もうちょいなんとかならなかったのかな、と。そんな盤をなんで紹介するんだ…という声もあるかとは思いますが。でも、ディオンを愛するファンには“しょーがねーなぁ”と思いながらも愛おしく楽しめる新作であることは間違いないし。またまたインディーズ系からのリリースなので、出たことを知らずにスルーしちゃって後で泣いてもいけないってことで。

45分もののDVD、付いてます。ディオンが同輩ロックンローラーたちに関する秘話を語ったり、現在のディオン・バンドのギタリスト、ボブ“クロウ”リチャートソンによる往年のギター・ロックンロール・サウンド解析とか、入ってるみたいです。これまた未見ですが(笑)。かなり楽しみ。早く仕事終わらさなきゃ…。

Back to the River / Susan Tedeschi (Verve Forecast)2008/11/04

Back to the River / Susan Tedeschi

日本シリーズ、相変わらずおなか痛いすのぉ…。

そんな日は痛快なやつを。男気みなぎるブルース姐御、スーザン・テデスキの新作だ。スタジオ盤としては通算5作目かな。ヴァーヴ・フォアキャストに移籍してからはこれが2枚目。前作は全曲カヴァーということもあり、パフォーマーとしての彼女にスポットを当てたツクリになっていたけれど、今回はソングライターとして、これまで以上に存在感を発揮した仕上がりって感じ。

なんとトニー・ジョー・ホワイト御大と共作、ワウワウ・ギターが炸裂するスワンプふうのアルバム・タイトル・チューン、旦那さまであるデレク・トラックスと共作したファンキーな「バタフライ」、ゲイリー・ルーリスと共作した切なくメロディアスな「ラーニング・ザ・ハード・ウェイ」、ショーン・コルヴィンとの仕事でおなじみのジョン・リヴェンサルとの共作による深い「レヴォリューショナイズ・ユア・ソウル」などをはじめ、ほとんど共作ながら全11曲中10曲がオリジナルだ。ブルースやR&Bの伝統にのっとった、かっちょいい曲ばかりです。残る1曲はベティ・ハリスが69年にリリースしたアラン・トゥーサン作品「ゼアズ・ア・ブレイク・イン・ザ・ロード」。ここでもホーン・セクションも交えて豪快にグルーヴしてみせる。

よく比較されるジャニス・ジョプリンほどエキセントリックではなく、近年のボニー・レイットほど達観した感じでもなく、いい案配にいいとこ取りがキマっていて。いつも通り、好感度たっぷり。ときおり垣間見せる繊細な表情もたまらんすね。

The McCormack Edition, Vol. 7: Acoustic Recordings (1916-1918) / John McCormack (Naxos Historical)2008/11/05

McCormack Edition, Vol. 7

今夜の岸は敵ながら痛快だったなぁ。くそーっ。それに対して、どうにもできないG打線のふがいなさ…。

つーわけで、今夜は心乱れたもんで。ジョン・マコーマックとか聞いちゃいます。04年からナクソスがスタートさせたアコースティック録音復刻シリーズ。年代順にちょっとずつリリースされ続けて、今回第7集が出た。ご存じ、アイルランド出身のテノール歌手。アメリカの市民権を獲得して、やがてハリウッドに定住するようになった人で。一般的には1930年の映画『我が心の歌』がおなじみかも。でも、このシリーズ、今回の第7集でようやく1916~18年。なにせラッパ録音だから音はご想像の通り。でも、そんなローファイな音像を突き抜けて届く豊かな歌心が素晴らしい。

第一次世界大戦下なので、出征/望郷系のそれっぽい曲もあり。アメリカ国歌とか入ってます。この人にとって唯一のオフィシャル録音となるマイスタージンガーの「優勝の歌」が含まれているのも、その筋のファンには見逃せないのかな。ぼくはその筋ではないのでよくわかりません。「ザ・サンシャイン・オヴ・ユア・スマイル」とか「ラヴ、ヒア・イズ・マイ・ハート」とか、ポピュラー系の楽曲中心に楽しんでます。

この人とか、あと、たとえはグレイシー・フィールズとか、そういう英国系の往年の歌手の歌声に漂う穏やかな郷愁は絶品すね。