Not Fade Away: The Complete Studio Recordings And More / Buddy Holly (Geffen/Hip-O Select)2009/11/23


Not Fade Away
 さて。いよいよ明日、ひと月フライングのCRTクリスマス・ナイトです。準備しながらクリスマス・ソングをいろいろ聞いていたら、なんかドリーミーな気分になってきちゃって。いいですねー、クリスマス・ソング。以前も書いたことがあったと思うけれど、何年か前、通販オンリーでクリスマス・ソングばっかり集めた5枚組CDボックスというのを編纂したことがあって。確か9月くらいからクリスマス・ソング漬けになっていたんだよなぁ。あの年は1年の後半、ずっと幸せ気分でした。

 そんな気分をみなさんで分かち合いましょう。今年は強烈な一撃、ボブ・ディランの『クリスマス・イン・ザ・ハート』のリリースもあるし。当然CRTとしてはこのアルバムについて深くハマり込んでいく予定です。ディランさんの所属レコード会社さまからもうれしいクリスマス・プレゼントをたくさんいただきました。本日までにご予約の方には福袋サービスもあります。物で釣ってるみたいですが(笑)。それはそれとして、楽しい内容になると思います。しかも今回はご愛顧感謝のナイスプライス! 左の情報欄を参照して、こぞってのご参加、お待ちしてます。幸せ気分を爆音/爆画面で共有しましょう。

 というわけで、今回のピック・アルバム。Hip-Oがまたまたかましてくれました。その名の通り、偉大なロックンロール・オリジネイター、バディ・ホリーが残したスタジオ・レコーディング、自宅デモなどを総まくりしたCD6枚組ボックス・セット。バディ・ホリーが悲劇の飛行機事故で他界してしまったのが1959年2月。それから50年という一区切りイヤーを締めくくるにふさわしい素晴らしい労作の登場だ。全世界7000セット限定です。

 バディ・ホリーの場合、1979年に編纂された必殺のLP6枚組ボックス『The Complete Buddy Holly』というのがあって。アメリカン・ロックンロール・ファンにとってはバイブル的アイテムだった。ところが、その後世の中がCD時代に入ってから、このボックス・セットがなぜか一向にCD化されずじまい。コンピレーションはあれこれ出るものの、どれも微妙に中途半端。誰もが同じ思いだったのか、このLPボックスを下敷きに、内容をさらに充実させたブートレッグCDボックスが何種類かリリースされちゃったり。ちぐはぐな状態がずっと続いていた。

 没後50年にあたる今年、このあたりのファンの不満を解決するべくアメリカのMCA/ユニバーサルがようやく内容の濃い2枚組アンソロジー2種類を出して。それは本ブログの2009年2月のエントリーでも紹介しました。基本的に書きたいことは大方そちらで書いてしまっているので、ぜひ参照していただきたいのだけれど。今回のHip-Oセレクトの6枚組CDボックスは、そのアンソロジー2種をさらに発展させた仕上がり。なんと今回初お目見えのアンダブド・ヴァージョンとか、未発表レコーディングとかも掘り起こされている。まだありましたか。うれしい。

 大判の本の形になっているパッケージも素敵だ。写真も満載。まだ読み切っていないけれど、ライナーも充実している。今年の再発盤ナンバーワンだな。ビートルズも吹っ飛ぶ。当たり前だね。バディ・ホリーなくしてビートルズなし、だもの。

Raditude / Weezer (Geffen)2009/11/15

Raditude / Weezer

またひと月くらい更新せずじまい。Twitterのせいばかりじゃないな。近頃はTwitterもあんまり積極的にやってないし。向いてないのかも(笑)。

それはそれとして。ライ・クーダー/ニック・ロウの来日公演。ご覧になった方はみなさん同じ感想でしょう。むちゃくちゃ良かったです。年齢を重ねて、二人とも思い切り楽に、自由になっていて。でもお互い、相手の音もしっかり聞いて、一瞬一瞬に反応する鋭い反射神経みたいなものにはさらに磨きがかかっていて。鉄壁。無敵。

近年のボブ・ディランやニール・ヤングを見ていても思うことだけれど。これはロックだな、と。昨日今日の若いミュージシャンには絶対にできないロック。いいもの見せていただきました。はらんでいる音楽性が深く広大すぎるだけに、聞くほうにもそれだけリスナーとしてのキャリアが必要かもしれなくて。彼らの出す音が若い人の耳にどう届くのか、まったく想像もつかないものの。おっさん音楽ファンとしては、珠玉のひととき。やー、トシはとってみるもんだね。

全曲、堪能しました。個人的には後半、ライ・クーダーが生ギターを抱えたパートがやはりぐっときた。ライ・クーダー自身はあまり生ギターに思い入れがあるわけでもなさそうだけど、70年代の彼に大影響を受けたリスナーとしては、どうしても生が、ね。たまらんです。特に、女性コーラスによる「インポシブレ・オルビダルテ」(だったかな? 記憶が曖昧)から「ヒール・ハフ・トゥ・ゴー」へと突入する瞬間、燃えました。

で、今回のピック・アルバム。この人たちも、還暦になってもなおロックし続けてくれるのでしょうか。してくれそうだな。そんなことを思わせる新作です。いい仕上がりだったものの、良くも悪くも「こいつらトシとったなぁ」と思わせる局面もあった前作はファンの間で賛否両論を巻き起こしたけれど。今回は再びリヴァース・クオモが自らの立脚点というか、出発点というか、その辺を見直したかのような快作。外部のソングライターの力も借りつつ、ウィーザーらしいポップ感をどかんと炸裂させている。またまたいい曲目白押し。けっこう暗中模索期もあったけれど、結果的にはいいキャリアの積み方をしているのでは?

基本的には10曲入り。US版デラックス・エディションはそれに4曲入りのディスク2が付く。欧版はディスク1のほうにボーナス1曲追加。日本版デラックス・エディションはディスク1にさらにもう1曲追加した全16曲。これがいちばんお得かな。でも、日本のiTunesストアでは17曲入り、USのiTunesストアでは29曲入りが出てます。ややこしいのぉ…。

The Sun Came Out / 7 Worlds Collide (Columbia/Sony)2009/10/18

The Sun Came Out / 7 Worlds Collide

さあ、CRT“ライ・クーダー・ナイト”、近づいてきました。お酒飲んだり、つまみ食ったりしながら、聞いて、語る音楽としてライ・クーダーって絶好のような気がします。つーか、おっちゃんたちは70年代、よくそんなことしてました(笑)。ライ・クーダーって、たとえばカヴァー選曲のセンスとかをマニアックに突っ込めばどこまでも突っ込める人だし、ギタリストとしての腕前に特化して語っても語り尽くせないほどのテクニシャンだし、でもどこかのんびりした、親しみやすいたたずまいもあって。語りがいがあるからなぁ。

20日はみんなで、またライ・クーダーの魅力を爆音/爆画面で多角的に味わいましょう。青山さんだけでなく、CRTギター長屋仲間の中森さんももしかしたら…。左の情報欄をご参照のうえ、こぞって参加してください。待ってます!

前回の更新のとき、ボブ・ディランのクリスマス・アルバムのことにちらっと触れたら、かなり反響ありました。国内盤待ちます…っておっしゃってくださった方も多くて。ありがとうございます。ディランのクリスマス・アルバムに関して、もうひとつうれしい情報を書いておくと。クリスマス・ソングといえばコーラスがつきもので。今回も7人のシンガーがコーラス隊としてクレジットされているのだけれど。そこに、アマンダ・バレットとアビー・デウォルドという名前が入っている。この二人、ロサンゼルスを拠点に活動するキュートでノスタルジックな女性アコースティック・デュオ“ディティ・バップス”のメンバー。04年、ミッチェル・フルームのプロデュースによるデビュー・アルバムをリリースして以来、すでに3枚の素敵なフル・アルバムを発表してきているのだけれど。日本では知名度が今ひとつかも。今回のゲスト参加で、注目度が上がるといいな、なんて思ったりしております。彼女たちの音楽、Youtube にもいろいろアップされているので、興味のある方はぜひ。

これとかこれとか大好きっす。

というわけで、今回もディランのクリスマス・アルバム押しの内容ですが。ピックアップ・アルバムは別の物でいきます。ニール・フィンが呼びかけ、レディオヘッド、ウィルコ、ジョニー・マーなどが集まって、貧困の克服を目指す国際的支援団体“オックスファム”をサポートするためのチャリティ・コンサートを行ったのが2001年。ちょっと前のことかと思っていたら、もう8年前っすね。ライヴの模様はCDやDVDも話題になったけれど、そのときのプロジェクト名“7ワールズ・コライド”のもと、今度はスタジオ・アルバムが登場しました。

今回も同様にオックスファムをサポートするためのチャリティ・アルバム。前出の顔ぶれに加えてKTタンストール、ビック・ルンガ、パーカッション・アンサンブル“フロム・スクラッチ”のドン・マッグラシャンらも参加している。ソウル・コフィングのセバスチャン・スタインバーグやリサ・ジャーメイノなどは前作から引き続きの登場。世代/ジャンルを超えるスーパー・プロジェクトながら、あまり全体がでこぼこすることもなく、参加ミュージシャンそれぞれの味がいい感じに溶け合っている。お互いの持ち味をお互いに知り抜いている感触というか。

ニール・フィンがニュージーランドの人だってこともあるのか、英米の感触がクールに俯瞰した視点から混ざり合っているのも面白い。80年代っぽい、ちょっと内省的な美メロ感覚が基調になったポップ・アルバムに仕上がっているけれど、それ以前の時代のポップ・ミュージックに対する憧憬みたいなものも随所に聞き取れて、胸がきゅっと高鳴る局面多し。個人的にはウィルコ絡み、というかジェフ・トウィーディ絡みの楽曲が特にぐっときます。1枚ものと2枚組とあるみたいだけど、ぼくは2枚組のほうでたっぷり楽しみました。

Theme Time Radio Hour: Season 2 / Various Artists (Ace)2009/10/14

Theme Time Radio Hour: Season 2

ボブ・ディランのクリスマス・アルバム、輸入盤が出回りだしたようですねー。最高にごきげんなホリデイ・アルバムに仕上がってます。『シーム・タイム・レディオ・アワー』のクリスマス特集とか聞いていたので、もっとひねくれた選曲になるのかと思っていたら、かなり直球の選曲になっていてびっくり。そのあたりの真意をあれこれ探ってみたものの、ディランのことだけに、結局よくわからず。萩原祐子がずばり言うには、「子供が生まれたみたいだから、いいとこ見せたかったんじゃないの?」と。案外、これ、当たりかも。

で、まあ、今のイチオシは当然ディランのクリスマス・アルバムってことになるわけですが。これ、来月、国内盤が出る予定で。ライナー、ぼくが書かせてもらいました。またまた長文になっちゃいましたが。それも読んでいただきたいので(笑)、待てる余裕のある方はぜひ国内盤を待ってやってください。今回ディランは、たとえば彼が「激しい雨が降る」を書くきっかけになったキューバ危機のとき、別の視点から平和への願いを託して書き上げられた「ドゥー・ユー・ヒア・ホワット・アイ・ヒア」を取り上げていたり、第2次対戦中に派兵されていた兵士たちの郷愁に訴えた「アイル・ビー・ホーム・フォー・クリスマス」や「ハヴ・ユアセルフ・ア・メリー・リトル・クリスマス」を取り上げていたり、長い歌詞の中で普通なら1番、2番、5番あたりを抜粋することが多い「ベツレヘムの小さな町」を、あえて1番と3番を抜粋したフランク・シナトラ・ヴァージョンでカヴァーしていたり。あちこち深読みしがいのある内容になっているので。このあたり、ぜひ対訳付きの国内盤で…みたいな(笑)。

というわけで、今日は違う盤を紹介します。最近はTwitterのおかげで、けっこう気がすんじゃってて。なかなかブログに手を付ける気にならないというか。そういう人、多そうな気がするのだけれど。間が空いちゃって、何を紹介したらいいやらわかりません。なもんで、今さらながらではありますが、輸入盤が先月半ばくらいに出回りだしたディラン絡みのコンピレーションを。

DJボブ・ディランが毎回テーマを決めて、それに沿った選曲と独特の語りで楽しませてくれた衛星ラジオ番組の公式コンピレーション第2弾です。07~08年にオンエアされたシーズン2でかかった曲の中からセレクトされた50曲。ワンダ・ジャクソン、フランキー・リー・シムズ、リトル・エスター、ジョージア・クラッカーズ、ミリアム・マケバ、モーズ・アリソン、ジョー・メイフィス、ビリー・ホリデイ、ルシンダ・ウィリアムス、エディット・ピアフ、スワンプ・ドッグ、キャプテン・ビーフハート、ニルソンなど、時代もジャンルも縦横に飛び回りつつのひねりの効いた選曲が楽しめる。1曲ごとの詳細な曲解説もうれしい。執筆者の中にはアル・クーパーの名前も…。

A Strange Arrangement / Mayer Hawthorne (Stones Throw)2009/09/06

A Strange Arrangement / Mayer Hawthorne

9月に入って、予想通りすっかりビートルズっぽい世の中に。もちろん、ぼくもビートルズ特需、恩恵を被ってます。ミュージック・マガジン社とかロッキン・オンから出るビートルズ増刊みたいなやつにも執筆させてもらってますし、9月11日に放送予定の『タモリ倶楽部』でも今回のビートルズ・リマスターの聞き比べ企画みたいなやつをやらせていただきました。まあ、『タモリ倶楽部』ですから。全然アカデミックではないですが(笑)。おぎやはぎや近田春夫さんと楽しくビートルズを語ってます。よろしければ見てやってください。NHKで放送される『よみがえるビートルズ』完全版の放送時間のちょっと前です。前座として、ぜひ(笑)。

あと、9月22日のCRTビートルズまつりも、ぜひ。左のインフォメーションをご参照のうえ、こぞって参加してください。前日はおなじみ宮永教授のビートルズ大学。てことで、それに先駆けて9月18日には新宿タワー・レコードで、ぼくと宮永教授、二人でトーク・イベントもやります。詳しくはこちらへ。

とはいえ、ビートルズのリマスター盤はまだ出てないわけで。出るまでは聞いた感想を公の場で発言してもいけないそうなので。他のアルバムの話をしましょう。いいの出ましたよ。また。

ミシガン州アン・アーバー出身の白人アーティスト。もともとはヒップホップ畑でDJとして活動していたようだけれど、遊び半分でオールド・ソウルのパロディっぽいデモ・テープを録音してみたところ、それがストーンズ・スロウ・レコードのピーナッツ・バター・ウルフの手に渡って、去年の暮れにシングル・デビュー。ボビー・コールドウェルばりのハート型の盤が話題を呼んだフィリー・ソウルっぽいデビュー・シングル「ジャスト・エイント・ゴナ・ワーク・アウト」に続いて、もう1枚、ドラマティックスとかデルズとかを思わせる「メイビー・ソー、メイビー・ノー」を出して、いよいよフル・アルバムの登場です。

トム・ベル、ギャンブル&ハフ、スモーキー・ロビンソン、ホーランド=ドジャー=ホーランド、カーティス・メイフィールドといった先達からの影響をふんだんにたたえたブルー・アイド・ソウル的世界観は、最近人気のレトロ・ソウル系の若手アーティスト群にまとめられちゃいそうだけれど。まったく打ち込みを使わず、アナログにこだわった音作りがむしろ新味。

ただ、あんまり歌がうまくなくて。そこが物足りないと言えば物足りないのだけれど、逆に往年のエリック・カズとか、ジョン・サイモンとか、黒人音楽の影響を強く受けた音楽性を訥々とした歌声で綴る白人アーティストのムードと二重写しになったりして。おじさんとしては切なく胸が躍ります。